ドリームキャスト関連技術情報

 詳しい人には基本過ぎて無用の、一般ユーザには難解過ぎる技術情報等。


GD-ROMの構造

 GD-ROMの構造自体は、各セッションが孤立した(マージされていない)2セッション構造のCD-ROMと良く似ている。
 この内、第1セッション(LBA0〜44999)は普通のCD-ROM(モード1)と同じであり、普通のCD-ROMドライブで読む事が出来る。この内、TOCを除いた全領域は105,487,200bytes = 約100Mbytesで、全てをデータ領域として使うとすると、約88Mbytesとなる。
 一方、第2セッション(LBA45000〜549299)は純粋なGD-ROM領域で、普通のCD-ROMドライブでは読む事が出来ない。倍密のCD-ROMのような物だと考えても良い。但し、セクタ構造自体は普通のCD-ROM(モード1)と同じであるため、TOCを除いた全領域は1,185,760,800bytes = 約1.1Gbytesで、全てをデータ領域として使うとすると、約985Mbytesとなる。
 GD-ROMを実行する場合、第2セッションのブートセクタから起動される。


MIL-CDの構造

 MIL-CD対応のドリームキャストはGD-ROMの他にMIL-CDを実行可能になっているが、構造自体はGD-ROMと同様の2セッション構造となっており、これはつまり、普通のマルチセッションCD-ROMの一種という事である。
 MIL-CDを実行する場合も、第2セッションのブートセクタから起動されるが、実行されるファイル自体は第2セッションにある必要は無い。つまり、第2セッションから参照できるようになっていれば(第1セッションがマージされていれば)、ファイル自体は第1セッション内に有っても良い。
 動作原理的にはGD-ROMでも同様にファイル自体を第1セッションに置く事も可能だとは思われるが、実際にそうした構造にしてあるGD-ROMは存在しない。


レーベルイメージの読み込み

 ドリームキャスト側からGD-ROM上に置かれたレーベルイメージを読み出す事が出来る。
 このイメージは実際のディスクのレーベルデザインとは無関係で、第2セッションのルートに置かれた『0GDTEX.PVR』という名前の256×256pixels、24bitカラーの画像ファイルになっている。その多くはアルファチャンネル(透過情報)として同じく256×256pixels、24bitカラーの画像情報を持っており、これによってディスク形での表示がされるようになっている。
 レーベルイメージ読み出しの例としては、ドリームキャストメニューのサウンドモード中にGD-ROMを認識した(GD-ROMを入れてドアを閉めた)時が上げられ、読み出したレーベルイメージが画面に表示されるようになっている。但し、これはGD-ROMのみであり、MIL-CDの場合は同じ場所に同じファイルが置かれていても表示されない。
 また、GD-ROMの中には『0GDTEX.PVR』を持たない物や、180度反転された状態で収録された物もある。但し、『0GDTEX.PVR』を持たないGD-ROMでも、所定の場所に『0GDTEX.PVR』を付加してやれば、勿論、正常に表示されるようになる。

『0GDTEX.PVR』を持たないGD-ROMの例:
NBA 2K
餓狼 マーク・オブ・ザ・ウルヴス
シーマン
首都高バトル
超発明BOY カニパン
バーチャファイター3tb
マーヴル VS. カプコン
麻雀大会USpecial
湯川元専務のお宝さがし
JRA PAT for Dreamcast V40L11
Dreamcast Express Extra
Dreamcast Generator Vol.1
サクラ大戦3 店頭用デモムービー

180度反転している『0GDTEX.PVR』が収録されているGD-ROMの例:
アウトトリガー
カードキャプターさくら 知世のビデオ大作戦
デッド オア アライブ 2
ファイティングバイパーズ2
プロペラアリーナ


ディスクの起動

 ドリームキャストは、ディスクを認識すると、その第2セッションの(TOCを除いた)先頭16セクタにあるブート情報(多くの場合、『IP.BIN』と呼ばれる)を読み込もうとする。この読み込みに成功し、内容がGD-ROM、あるいは、MIL-CDとして正常であると認識した場合、これを実行可能ディスクであると認識する。そして、それを実行させると、そのブート情報内に示されている条件に従って、同じく示されているファイルを起動する。
 そうして起動されるファイル名は、多くの場合『1ST_READ.BIN』であるが、これは慣例的なものであり、例外も多く存在する。
 また、Windows CEをシステムとして使っているGD-ROMの場合は、『0WINCEOS.BIN』が起動されるファイルとして指定されるが、実際には、ドリームキャストにビルトインされているシステム以外(Windows CE等)をシステムとして使うかどうかは、ブート情報内で指定されているため、ファイル名によって使用するシステムが決まっているわけではない。
 そのため、Windows CEを使わないGD-ROMで『0WINCEOS.BIN』(という名前のファイル)を起動させたり、逆に『0WINCEOS.BIN』という名前以外のファイルでWindows CEを使用する事も問題無く出来る。

『1ST_READ.BIN』以外の初期起動ファイルを持つGD-ROMの例:
マーヴル VS. カプコン 『0.BIN』
湯川元専務のお宝さがし 『1NOSDC.BIN』
レンタヒーローNo.1 『1RENTA.BIN』
(Windows CE使用ソフト各種) 『0WINCEOS.BIN』

 但し、ドリームキャストは起動ファイルをアルファヌメリック順で検索し、その数は有限であるため、初期起動ファイルとして指定されているファイルの名前よりアルファヌメリック順で若い名前のファイルが第2セッションのルートに多数有る場合は、起動すべきファイルまで到達出来ず、起動が出来なくなる(メニュー画面に戻る)。

 ブート情報内には、ディスクの各種認識情報等も含まれているが、その他にも、サブロゴ(存在する場合、ディスク起動時のセガのライセンスロゴの右下に表示される、最大320×90pixelsの画像)格納用のエリアも存在する。

 このサブロゴ用のエリアは通常、先頭からのオフセットアドレス3820h〜581Fhの8Kbytes = 8192bytesが用意されており、ここにmr形式と呼ばれる画像ファイルが収容されるようになっているが、ブート情報部自体には容量に余裕があるので、それ自体のコードを書き換えれば、これより大きなファイルを収容出来るようにする事も可能である。



「ドリームキャスト修理・販売」へ戻る



PSO道場正門へ戻る