ドリームキャスト関連雑学

 殆ど役に立たない雑学等。大昔にWikipediaに提供した情報も再録。


ドリームキャストのバージョン

 ドリームキャストは国内向けだけでも大きく分けて、初期版、廉価版、再構成版、再生版4つのバージョンがある。

 初期版は1998年10月27日〜1999年06月26日の生産、廉価版は1999年10月29日〜の生産、再構成版は2001年05月30日〜2001年12月07日の生産となっているが、初期版に関しては、海外向けだった物を国内向けに振り替えた物もあるので、そちらは1999年02月25日〜2002年09月24日の生産となっている。

 初期版は外見からだと、本体左側の換気口からファンの周りに金属製のヒートシンクが見えるか、上面ドアの内側に『PC+ABS』という素材表記がある事によって確認できる(但し、先行廉価化の物は、『ABS』になっている)。勿論、これらは改造や部品の換装がされていない事が前提であり、以降、同様の表記となる。

 廉価版の初期版との外見上の違いは、本体左側の換気口から黒いプラスチック製のフードが見え、上面ドアの内側の素材表記が『ABS』になっているという点がある。
 ドアを含めたケース上側は実際にPCを含まない素材になっているので、初期版に比べると若干脆く、耐衝撃性も下がっている。

 再構成版は、廉価版をさらに廉価仕様とした海外向け製品の一部を、国内向けに再構成したもので、内部構造に関しては前出の2種類と大きく異なっているが、外見からだと廉価版と区別は付かない。
 但し、海外向けの多くは元から国内向けと同じ部品構成なので、それを国内向けとして再構成したものは構造的にも元から国内向けの物と同一なので、再構成版としては扱われない。

 再生版は前出の3種類の全てが元になっているので、形状だけではそれぞれと区別が付かない。しかし、初期不良や故障でセガに修理に回された機体から、正常そうな部品を充分な検査さえせずに組み立て(所謂、『ニコイチ』とか『共食い整備』と言われる類)て製品とした物で、そのために初期不良率が極端に高く、悪評が高い。

 内部構造に関しては、小さな物から大きな物まで、数多くの差異がある。主な差異は以下の通り。
ケース下側
 初期版: 右手前にファン固定用のビスマウントが無い。
 廉価版、再構成版: ファン固定用のビスマウントが有る。
シールド上側
 初期版: 下側にヒートシンク用の金属板が無い。ドライブ固定用の左手前ビス穴が補助用のポッチより手前側。
 廉価版: 下側にヒートシンク用の金属板が有る。ドライブ固定用の左手前ビス穴が補助用のポッチより奥側。
 再構成版: 廉価版と同様だが、『CAUTION』表記のシールが貼ってある。
シールド下側
 初期版: 右手前にファン用のヒレが有る。
 廉価版: ファン用のヒレが無い。
 再構成版: 廉価版と同様だが、右手前にBTLドライバ用の放熱パーツが有る他、シールド下にモデムパーツ接続用のバネ板が有る。
ファン
 初期版: 金属製ヒートパイプ/ヒートシンク付き。ファンのケーブルは2芯(Vcc、GND)。ヒートパイプには温度ヒューズが付けられており、過熱した場合は溶断によって本体の電源を強制切断するようになっている。
 廉価版: プラ製フード付き。ファンのケーブルは3芯(Vcc、稼動パルス、GND)。稼動パルスは半回転毎に信号を発信するようになっており、ファンの正常稼動の確認に使われている。この信号が3秒以上途切れると、本体の電源を強制切断するようになっている。
 再構成版 : 廉価版と同様。
コントロールポート
 初期版: ファンケーブル接続用のコネクタが2芯。
 廉価版: ファンケーブル接続用のコネクタが3芯。さらに、レジストレスのより安価な基板になっている事も有り。
 再構成版 : 廉価版と同様。
ドライブマウント
 初期版: ドライブ固定用の左手前ビス穴がポッチ用穴より手前側。
 廉価版: ドライブ固定用の左手前ビス穴がポッチ用穴より奥側。
 再構成版: 他の2種とは全く違って独特。BTLドライバ基板用のスペースが無く、ドアスイッチのみ付属。
 左手前のビスを止めないならば、改造無しでも初期版と廉価版の丸ごとのドライブの載せ替えは可能

ドライブサーフェースプレート
 初期版、廉価版 : レンズ用穴は細い/太いの両タイプが有り、互換。但し、ドライブフレームにうまく嵌らない場合が有る(サイズが微妙に違う)。
 再構成版: レンズ用穴は太い。

ドライブフレーム
 初期版: ナローGDピックアップ用(スレッド用穴が片側のみで細い)。
 廉価版: ナローGDピックアップ用とワイドGDピックアップ用(スレッド用穴が両側で太い)の両タイプが存在。
 再構成版: ワイドGDピックアップ用。
 ワイドGDピックアップ用にナローGDピックアップを付ける事は可能だが、逆は不可能。
 但し、ドライブフレーム自体の載せ替えは3種全ての間で可能。

GDピックアップ
 初期版 : ナローGDピックアップ(丸く幅が狭い)。
 廉価版 : ナローGDピックアップとワイドGDピックアップ(四角く幅広)の両タイプが存在。
 再構成版: ワイドGDピックアップ。

メインボード
 初期版 : 左奥に温度ヒューズ接続用コネクタ(CN301)有り(VA0基板)。MIL-CD対応基板。
 廉価版 : 温度ヒューズ接続用コネクタ無し(VA1基板)。
 再構成版: メインボードとBTLドライバ基板が一体化した基板で、他の2種とは全く違って独特(VA2.1基板)。MIL-CD対応基板。

 メインボードの種類に関しては、大別(バージョン)としては3種類だが、リビジョンまで含むと極めて多数の種類がある。また、MIL-CDの対応/非対応はメインボードに依存するが、VA1基板に関しては全く同じリビジョンであっても対応と非対応の両方があるので、判別の材料にはならない。


MIL-CD対応ドリームキャスト

 MIL-CD対応ドリームキャストは、MIL-CD構造のCD-Rも実行させる事が可能なため、非セガライセンスソフトや同人ソフト等も稼動させられる等、重宝される。
 販売サイトによっては、あたかもMIL-CD対応のドリームキャストがレアであるかのような表記をしている所もあったりするが、そもそも海外向けのドリームキャストは全て対応機である上、実際には日本向けに生産された物に限っても、対応機は94%を超えていて、むしろ非対応機の方がレアだとも言える。

 当時、故障したMIL-CD対応機をセガに修理に出したところ、非対応仕様にされて戻ってきたとか、MIL-CD非対応機のメイン基板にジャンパ線半田付けをするだけで対応機になる(ゲームラボ2003年4月号)というデマが出回ったりと、MIL-CD対応機絡みのトラブルは少なくなかった。

 外見からの判別方法だと、底面のメーカ表記が『株式会社セガ・エンタープライゼズ』なら対応機、『SEGA CORPORATION』なら非対応機というのは一般に良く言われる事だが、『SEGA CORPORATION』であっても、再構成版、再生版は基本的に対応機なので、絶対的な判別方法でもない(この場合、化粧箱に『MIL-CD非対応機』と書かれていても、実際には対応機である)。
 但し、非MIL-CD対応機は『ASAHI Electron』と『UGO DENSHI』が製造した物のみなので、他の3社の製造表記がある物は、必然的にMIL-CD対応機となる。


製造番号と個体データと機体固有番号

 ドリームキャスト本体底面には、12桁の製造番号が記載されているが、この内、先頭の2桁は製造会社を表している。
製造会社番号
01: ASAHI Electron
02: SEIYO D.
03: SANWA DENKI S
04: T. TKR
05: UGO DENSHI
 また、先頭より3桁目は製造西暦年(1998〜2001)の下1桁を表している。これは飽くまでケースの製造年しか表していないので、実際の製造年とは必ずしも一致しないが、2001年まで製造していたのは『ASAHI Electron』のみで、『SEIYO D.』は1999年までしか製造しておらず、他の3社は2000年まで製造していた事が分かる。

 これとは別に、ドリームキャストはメインボード上の不揮発メモリ内に48bytes分(十進数48桁)の個体データが存在する。
 この内8桁は機体固有番号だが、その他に製造年月日時分(12桁)や製造会社番号(2桁)等が記録されている。
 製造年月日時分は、事実上その個体が製造された時期と考えられ、製造番号の製造年表記よりは正確だと思って良い。また、基本的に基板の製造の方がケースより後なので、製造番号の製造年表記と不揮発メモリ上の製造年記録が異なる場合もある(その場合、当然、不揮発メモリ上の記録の方が遅くなっている)。
 製造会社番号は、基本的には製造番号内に表記されている物と同一だが、06、09、10という表記もあり、これらは(海外向けを含む)ケースの製造会社とは無関係で、再構成版、再生版を含む、追加生産分についての表記になっている。


コントロールパッドのバージョン

 コントロールパッドにも旧バージョンと新バージョンがある。
 外見では、十字キーの高さが、新バージョンの方が僅か(実際に使用すると、僅かでもないが)に高いだけだが、内部的には、旧バージョンのトリガーには支点軸部に(嵌め込み易くするための)切り込みが入っているのに対して、新バージョンではその切り込みが無くなっている。
 実はこの旧バージョンの切り込みは構造的な欠陥であり、極めて耐久力が低く、実際に使用すると簡単に折れるというもので、そのため、新バージョンでは無くなったのだった。
 実際に当時、セガの社内的にはこれを欠陥として認めていて、修理(もしくは、本体の修理のついで)でコントロールパッドをセガに送付すると、無償でトリガーを新バージョンの物に交換されていた。
 しかしながら、コストカットのため、セガはこの欠陥と交換については一切告知せず、無償交換/修理自体は最小限に留めていた。


おまけファイルとゴミファイル

 GD-ROMの第1セッションは普通のCD-ROMドライブで読めるため、そうやって読む事を前提とした、おまけファイルが入れられている事がある。
 具体的には、ゲーム関連の壁紙やCG、あるいは、開発者のメッセージが入っていたり、警告音声がゲームキャラクタ(の声優)の声になっていたりとかだが、こうした事は、かつてPC EngineのCD-ROM2の時代から度々行われていた事である。
 一方で、何のためか全く分からないファイルが入れられている事もある。
 例としては、『上海ダイナスティ』には『DUMMY.BIN』という名前で3072×2304pixels、24bitカラーのBMPファイルが入っている(右画像参照)。
 一般にCD-ROM等には、重要なファイルを外周に置くため(ロード速度をより速くするため)、ディスク容量に余裕がある場合は内周にダミーファイルを置く場合がある(特に指定していない場合、内周から順にファイルが書き込まれていくため)。しかし、GD-ROMの場合は第2セッションの開始LBAが固定されているため、第1セッションにダミーファイルを入れても全く無意味なのである。

 また、第2セッションの方には、開発段階のファイルが残されている事が多々ある。
 稀には、本来入っていてはいけないようなファイル(R18)もあるが、使用されていないファイルや開発ツールの一部、開発段階のメモ等は多々入っている。
 中には、体験版だった時のパッチファイルが残っている(当然、使用されていない)物もあるが、逆に、体験版でありながら、製品版に体験版のパッチファイルを当てているだけの物もあり、そうした物は、実際にパッチファイルを書き換えるだけで製品版がプレイ出来る。


ファイル順とアクセス速度

 特に指定がされていない場合、GD-ROMにはファイル名のアルファヌメリック順にファイルが(内周から順に)書き込まれるようになっている。
 通常は、より高速なロードを行いたいファイルを外周に置くべきだが、ストリームで(音楽データを順次読み込みながら)音楽を流しつつ他のデータを読み込むような場合、ロード時間(ファイルを読み込む時間)よりもシーク時間(ファイルの位置にGDピックアップを合わせる時間)の方がはるかに大きく、問題となる。
 実際に、『ファンタシースターオンライン』等ではストリームで音楽を流しながらキャラクタデータを読み込むため、(両ファイル間をGDピックアップが何往復もするので)キャラクタが表示されるまでに非常に時間が掛かるという難点があるが、ディスク上の音楽データとキャラクタデータのファイル位置を近付けた物にすることによって、格段に時間が短縮できる。


SAMPLE_GAME_TITLE

 『バーチャファイター3tb』、『プロ野球チームであそぼう!』、『プロ野球チームをつくろう!』、『サカつく 特大号』、『サカつく 特大号 2』のセッション2のボリュームラベルは、『SAMPLE_GAME_TITLE』になっている。
 恐らく、マスターアップ時のボリュームラベルの設定し忘れが原因。


初回版と通常版

 『アイドル雀士をつくっちゃおう』には初回版と通常版があるが、ディスクの内容自体は全く同じ。
 しかも、記録されているプロダクトナンバーは通常版の物(より遅い番号)になっている。


『シェンムー』は4枚組

 『シェンムー』はディスク3枚組のゲームとして知られているが、ディスク内の情報では、『シェンムーパスポート』を加えた4枚組という扱いになっている。


『ファンタシースターオンライン』の不具合握り潰し

 『ファンタシースターオンライン』、『ファンタシースターオンラインVer.2』に関しては、セガ/ソニックチームの知識/技量不足、及び、怠慢のため、度々、重大な障害を起こしていたが、殆どがまともな対処がされないか、長期間放置されていたりした。
 セガサミーホールディングスの株主総会にて当時の小口社長にこの件について聞いたところ、それまで何一つ、そうした障害に関する不具合が上がって来た事はないと、驚いた表情をしていた。
 つまり、期せずして、カスタマーサービスやメンテナンスチームがそうした不具合を握り潰し、上への報告を全くしていない事が露呈した。



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